税金 海外利益還流と米国経済
二〇〇五年より実施されている雇用創出を目的とした法律には、国内への投資を促し雇用を増やすための様々な税金を減らす取り組みが含まれていました。中でも特に注目を集めたのが「国内投資促進条項」で、これは海外で得た利益や配当金、余剰資金を国内に戻す際に、企業の税負担を大きく軽くする措置でした。通常、これらの資金には三五パーセントの税金がかかりますが、この条項を適用すると、税率はわずか五・二五パーセントにまで下がります。この大幅な減税は、企業にとって大きなメリットとなり、国内への資金還流を促す効果が期待されました。この条項は、多国籍企業が海外の子会社から受け取る配当金や、海外で得た利益をアメリカ国内に還流させる際に適用されました。具体的には、海外子会社からの配当金をアメリカ親会社が受け取る際、通常であれば三五パーセントの法人税が課せられますが、この条項を適用することで、五・二五パーセントまで軽減されました。また、海外に留保されている利益をアメリカ国内に還流させる場合にも、同様の減税措置が適用されました。この減税措置は、アメリカ国内の投資を活性化し、雇用を創出することを目的としていました。海外に多額の資金を保有している多国籍企業が、この優遇措置を利用して資金を国内に還流させることで、国内での設備投資や研究開発投資などが促進され、雇用創出につながると期待されました。また、税収増にもつながると見込まれていました。低い税率であっても、多額の資金が還流されれば、結果的に税収は増加すると考えられたからです。しかし、実際には期待されたほどの効果は得られず、多国籍企業は資金を自社株買いや配当金の増加に充てる傾向が見られました。これは、必ずしも国内経済の活性化には繋がらないため、この条項の有効性については議論の余地が残されています。
