仮想通貨用語 ボルカー・ショック:高金利政策の功罪
1970年代の米国は、不景気と物価上昇という二重苦に見舞われていました。景気が冷え込む一方で物価が上がり続ける、まるで馬車の両輪がそれぞれ逆方向に回ってしまうかのような状態を、私たちは「滞留と膨張」と呼びますが、まさにこの状況に米国は陥っていたのです。この苦境を招いた要因はいくつか考えられます。まず、石油の値段が世界的に高騰したことが挙げられます。石油は社会のあらゆる場面で必要とされるため、その値上がりが経済全体に大きな影響を与えたのです。加えて、ベトナム戦争に伴う国の支出増大も無視できません。戦争は莫大な費用を必要とするため、国の財政を圧迫し、経済の不安定化に繋がりました。当時の政策担当者は、不景気対策としてお金の流れを良くしようとすると物価上昇が加速し、逆に物価上昇を抑えようとすると不景気が悪化する、という板挟みの状態でした。例えるなら、熱くなったおでこを冷やすために氷を当てると寒くなり、氷を外すとまた熱くなる、といった具合です。まさに八方塞がりで、有効な解決策を見いだせないまま、苦しい状況が続いていました。このような経済の混乱の中、ポール・ボルカー氏が連邦準備制度理事会(中央銀行のような役割)の議長に就任しました。これは、嵐が吹き荒れる海に新たな船長が乗り込んできたようなものでした。ボルカー氏は、従来とは全く異なる大胆な政策を打ち出し、この難局を乗り越えようとしたのです。まさに、嵐の中を航海するための新たな羅針盤が示された瞬間でした。
