分散型台帳の信頼性:ピービーエフティー

仮想通貨を知りたい
先生、『ピービーエフティー』って、何ですか?難しそうです。

仮想通貨研究家
『ピービーエフティー』は、『ビザンチン・フォールト・トレランス』の略で、一部のコンピューターが故障したり、間違った情報を流したりしても、全体のシステムが正しく動く仕組みのことだよ。

仮想通貨を知りたい
なるほど。でも、なぜ『ビザンチン』という言葉を使うのですか?

仮想通貨研究家
それは、複数の将軍がそれぞれ異なる場所で合意形成をしなければならないという『ビザンチン将軍問題』という例え話から来ているんだ。仮想通貨のシステムも、世界中に散らばったコンピューターが協力して正しい取引記録を作らなければならないから、この例え話がぴったりなんだよ。
ピービーエフティーとは。
仮想通貨の用語で『ピービーエフティー』というものがあります。これは、以前の記事で紹介した『ビザンチン将軍問題』と深く関わっています。『ビザンチン将軍問題』とは、仲間同士で連絡を取り合う仕組みの中で、通信がうまくいかなかったり、一部の仲間がわざとウソの情報を伝えたりする可能性があるときに、全員が最終的に正しい結論にたどり着けるのか、という問題です。この問題を解決して、仲間同士で連絡を取り合う仕組みが正しく動くようにするシステムは、『ビザンチン・フォールト・トレランス性』(略して『ピービーエフティー』)を持っていると言われます。
合意形成の課題

皆で管理する仕組みは、特定の人や組織に権力が偏るのを防ぎ、一部が壊れても全体が止まらない強い仕組みにできます。しかし、参加者全員が同じ立場であり、不正をする者もいるかもしれない状況では、正しい結論にたどり着くのがとても難しくなります。例えば、あるお金のやり取りが正しいか判断する時、一部の参加者が嘘の情報を流したり、邪魔をしたりするかもしれません。このような状況で、どのようにして全体の整合性を保ち、正しい記録を残せるのでしょうか。これが、皆で管理する仕組みにおける合意形成の大きな課題です。
単純に多数決で決めてしまうと、悪い考えを持った参加者が多くの人を騙して、間違った結論に導く危険性があります。例えば、お金のやり取りを承認する際に、不正を行う者が多数派を装って偽の承認を作り出し、実際には存在しないお金を手に入れるかもしれません。あるいは、正しいやり取りを妨害するために、多数の偽のアカウントを使って反対票を投じ、取引を成立させないようにすることも考えられます。このような不正を防ぐためには、より高度な合意形成の方法が必要です。
不正を防ぐ方法の一つとして、参加者の信頼度を評価する仕組みが考えられます。過去の行動や貢献度に基づいて信頼できる参加者にはより大きな発言権を与え、信頼できない参加者の影響力を小さくすることで、不正操作の影響を軽減できます。また、複雑な計算問題を解かせ、その答えを元に合意を形成する仕組みも有効です。計算問題を解くには一定の計算能力が必要となるため、不正を行うために多数の偽アカウントを操作することが難しくなります。このような様々な工夫により、皆で管理する仕組みでも安全で信頼できる合意形成を実現できるよう、日々研究開発が進められています。
| 課題 | 問題点 | 解決策 |
|---|---|---|
| 合意形成 | 参加者全員が同じ立場であり、不正をする者もいるかもしれない状況では、正しい結論にたどり着くのが難しい。一部の参加者が嘘の情報を流したり、邪魔をしたりするかもしれない。 |
|
| 多数決の危険性 | 悪い考えを持った参加者が多くの人を騙して、間違った結論に導く危険性がある。不正を行う者が多数派を装って偽の承認を作り出し、実際には存在しないお金を手に入れるかもしれない。正しいやり取りを妨害するために、多数の偽のアカウントを使って反対票を投じ、取引を成立させないようにすることも考えられる。 | より高度な合意形成の方法が必要 |
ピービーエフティーという解決策

実際的な故障への耐性という手法は、複数の計算機がネットワークでつながり、情報を共有しながら動作する仕組みにおいて、一部の計算機が故障したり、誤った情報を流したりしても、全体として正しい結果を導き出す方法です。これは、信頼できない状況でも合意を形成する方法として知られています。
この手法は、将軍たちがどのようにして攻撃計画について合意を形成するかという、有名な例え話をもとに考えられました。この例え話では、将軍たちの一部が裏切り者で、偽の情報を流す可能性があります。このような状況でも、攻撃を成功させるためには、忠実な将軍たちが正しい合意に達する必要があります。
実際的な故障への耐性は、複数段階のやり取りと確認作業によってこれを実現します。まず、提案と呼ばれる最初の案が出され、参加者たちはそれぞれこの提案について検証を行います。検証結果を互いに共有し、最終的に合意を形成します。
この手順を踏むことで、一部の参加者が不正を行っていたとしても、システム全体としては正しい結論に達することができます。これは、各段階での検証作業が、不正の検出と修正を可能にするからです。
例えば、ある参加者が誤った情報を流した場合、他の参加者はその情報が誤りであることを検証によって確認できます。そして、正しい情報に基づいて合意を形成することで、システム全体の信頼性を守ることができます。この手法は、暗号資産をはじめとした様々な分散型システムにおいて、信頼性の高い合意形成を実現するための重要な技術となっています。

仕組み

合意形成の仕組みは、大きく分けて三つの段階に分かれています。まず初めに「提案段階」があります。この段階では、選ばれた代表となる装置が、新たな合意内容の候補をネットワーク全体に発信します。これは、皆で話し合うための議題を提示するようなものです。
次に「検証段階」に移ります。この段階では、ネットワークに参加している他の全ての装置が、代表から受け取った候補内容をそれぞれ独自に検証します。この検証作業は、不正や間違いがないかをチェックする重要なプロセスです。そして、検証結果を他の装置に伝えます。これは、各自が検証した結果を持ち寄り、互いに確認し合う作業に例えられます。
最後に「合意段階」となります。この段階では、各装置が他の装置から受け取った検証結果を集計し、全体の3分の2以上が同じ内容に賛同している場合、その内容が正式な合意内容として確定します。これは、多数決で物事を決める仕組みに似ています。仮に一部の装置が不正な動作をしたり、故障したりしても、全体の3分の2以上が正しく動作していれば、正しい合意内容に到達できるため、システム全体の安全性が保たれるのです。
このように、段階を踏んだ合意形成の仕組みは、通信の遅延や装置の故障といった問題が発生しやすい状況でも、安定して動作するように設計されています。これは、様々な環境下で利用されることを想定した、信頼性の高い仕組みと言えるでしょう。

利点

分散型システムで採用されている合意形成手法の一つであるピービーエフティーは、システムの信頼性を高める上で様々な利点を持っています。まず、高い耐故障性が挙げられます。ネットワークに参加している一部の機器が故障したり、不正な動作をしたりしても、全体の3分の1までであれば、システム全体への影響を抑え、正常な動作を維持することができます。これは、他の合意形成手法と比較しても優れた点であり、多くの機器が参加する大規模なシステムでも安定した運用を期待できます。
次に、高い安全性もピービーエフティーの利点です。合意形成に至るまでの手順が明確に定められており、システムの挙動を予測しやすいため、予期せぬ問題発生のリスクを低減できます。また、不正な機器がシステムを操作することを防ぐ仕組みも備わっており、安心して利用できます。
さらに、通信量の削減による効率的な運用も実現できます。機器間で送受信される情報の量を最小限に抑えることで、通信にかかる負担を軽減し、システム全体の処理速度向上に貢献します。特に、多数の機器が複雑に連携するシステムでは、この通信量の削減効果は大きく、円滑な運用につながります。
これらの利点から、ピービーエフティーは、高い信頼性が求められる様々な分散型システムで重要な役割を担っており、今後もその活用範囲は広がっていくと考えられます。
| 利点 | 説明 |
|---|---|
| 高い耐故障性 | ネットワークに参加している機器の一部(全体の1/3まで)が故障、不正動作をしても、システム全体への影響を抑え、正常な動作を維持できる。 |
| 高い安全性 | 合意形成の手順が明確で、システムの挙動を予測しやすく、予期せぬ問題発生のリスクを低減。不正な機器によるシステム操作を防止する仕組みも備えている。 |
| 通信量の削減による効率的な運用 | 機器間で送受信される情報の量を最小限に抑えることで、通信にかかる負担を軽減し、システム全体の処理速度向上に貢献。 |
欠点と改良

合意形成手順の一つであるピービーエフティーは、多くの利点を持つ一方で、いくつかの課題も抱えています。まず、参加する計算機の数が多くなると、通信の負担が大きくなる点が挙げられます。この手順では、全ての計算機が互いに情報をやり取りする必要があるため、計算機の台数が増えるほど、通信量が爆発的に増大してしまうのです。
この問題を解決するために、様々な改良案が提案されています。例えば、代表となる計算機を選んで、その計算機を介して情報をやり取りする方法があります。全ての計算機が直接やり取りするのではなく、代表の計算機に情報を集約し、そこから他の計算機に伝えることで、通信量を大幅に減らすことができます。また、階層構造を導入する方法も有効です。全ての計算機を一つの集団として扱うのではなく、複数の小さな集団に分け、それぞれの集団内で合意形成を行い、その後、集団の代表同士が合意形成を行うことで、全体としての通信量を抑制できます。
これらの改良によって、ピービーエフティーは、より多くの計算機が参加する大規模な仕組みにも適用できるようになってきました。例えば、数多くの計算機が参加する巨大な記録管理システムや、広範囲に広がる情報共有網などへの応用が期待されます。研究開発は今も進められており、将来的には、更に性能が向上し、より多くの場面で活用されることが期待されています。例えば、処理速度の向上や、安全性強化のための新たな仕組みの導入などが考えられます。これらの技術革新は、分散型システムの更なる発展に大きく貢献するでしょう。
| 利点 | 課題 | 解決策 | 応用と将来展望 |
|---|---|---|---|
| – | 参加計算機数増加に伴う通信負担増大 | – 代表計算機による情報集約 – 階層構造の導入 |
– 大規模記録管理システム – 広範囲情報共有網 – 処理速度向上 – 安全性強化 |
仮想通貨への応用

暗号資産の世界では、取引の安全性を保ちつつ、スムーズなやり取りを実現することが重要です。そのために、ブロックチェーンと呼ばれる技術が用いられています。これは、データを鎖のように繋いで記録していく仕組みで、過去の記録を改ざんすることが非常に困難な特徴があります。
暗号資産の取引を安全に行うためには、参加者間で取引内容の合意を得るための仕組みが必要です。この仕組みを合意形成アルゴリズムと呼びます。様々なアルゴリズムが存在する中で、実用的ビザンチンフォールトトレランス(ピービーエフティー)というアルゴリズムが、一部の暗号資産で採用されています。
ピービーエフティーは、一部の参加者が不正な行動をとったとしても、全体の合意形成に影響を与えないという優れた特徴を持っています。しかし、参加者全員で何度も情報をやり取りする必要があるため、参加者が多いほど通信量が増えてしまうという欠点も抱えています。
この欠点を補うために、ハイパーレジャー・ファブリックのような限られた参加者のみが参加できるブロックチェーンでピービーエフティーが活用されています。参加者を限定することで、通信量を抑えつつ、ピービーエフティーの高い安全性と信頼性を活かすことができます。これにより、安全で効率的な取引処理が可能となります。
このように、ピービーエフティーは、暗号資産の信頼性を支える重要な技術として活躍しています。今後、暗号資産の普及が進むにつれて、その重要性はさらに増していくと考えられます。
